代官山に佇む清楚な秀和。1階テナントに竣工当時の名残を留める
代官山駅から八幡通りへ出て、代官山アドレスやアパレルのお店を横目に見ながら一本道に入った先に見える、秀和代官山レジデンス。
代官山に建つ、大きな秀和
1972年築・総戸数190戸の大きな秀和です。
存在感はもちろんありますが、晴れた日には南西からの陽の光を浴びる様子がとても美しく、さながら洗練された雰囲気の街並みの中に佇むお城のようです。
外観のところどころが刷新されていて、こまめな修繕をしてきた様子が伺えます。バルコニー柵も刷新されていてアイアンは直線的でキリッとした印象に。70年代の秀和らしく、バルコニーの隔て板はモルタルがしっかりと塗られたモコモコタイプ。それでも全体を見たときに、スッキリとして見えるのはストレートなアイアンのおかげでしょうか。
この秀和には他にも石柱に入ったモールドや刷新されたアプローチタイルなど、随所に直線的でシンメトリーなデザインが取り入れられています。
S字のアイアンなど曲線的なデザインと秀和の外装の組み合わせは艶やかな雰囲気を醸し出しますが、こういうストレートなものを用いると、今度はラフウォールとのコントラストでエッジが効いてより洗練さが出てきますね。こういうのも大好きです。
幅を広くとったアプローチの両端にはスロープが設けられ、エントランス前の雰囲気やこちらの作りは秀和第2南平台レジデンスを彷彿とさせます。
アプローチを飾る門柱はアイアンではなく二つの石柱。そのトップにはちょこんと乗っかった照明が可愛らしい。鋳造されたシンプルなデザインとドライな質感はこの建物によく似合っている気がします。
1階の正面から西側には駐車場と東側には事務所や店舗が入っています。修繕を重ねてきた中で、東側に入っているテナント周りは竣工時のままでいまや貴重です。階段周りには当時の豆タイルや円状タイルが残っていて竣工当時の様子を偲ばせます。反対の駐車場側に目を向けると、こちらにはラフウォール仕上げの外塀に青瓦の組み合わせ。
1階の一箇所に駐車場側とテラスを繋げる扉があり、こちらに描かれた模様も装飾性があって素敵。扉の上部分は半円状にアールがかかったもので、それにあわせて外塀とそれを覆う青瓦もアーチ状に盛り上がっていて可愛らしいです。
エントランス入口前には、C字にカールさせた金具に取り付けられた照明が2箇所。
円錐形の塔のようなフォルムに石目模様のガラスがはめ込まれていて美しいです。この秀和には門柱やエントランス前の照明以外も色んな形のものがあるのも楽しめるポイント。先程のテナント部分にはまた別の形をの街灯が立っています。
こちらはアイアンと連なるように設けられた一体感のあるデザインで、台形を逆さにした形状のトップには鏃のようなモチーフが取り付けられています。
中に入っても美しい
エントランス内部にも美しいデザインたちが随所に見受けられます。
エントランスに入ってすぐ床のタイルには羅針盤のような印象的なデザインが描かれています。掲示板を照らす照明も素敵。こちらには二つの花の蕾が垂れ下がったような造形のランプ。鮮やかなステンドグラスを透して優雅な明かりが灯ります。
掲示板の隣に掲げられたご意見箱もチャームポイント。
外に出て少し離れたところからあらためて目を向けると、美しいファサードとスラッとしたその建物外観のバランス感が美しく目を惹きます。
変わりゆく代官山の街でずっと調和をとっている秀和
街並みや景観に馴染みながらも埋もれることなく、外観や細部に至るまで独特の美しさや佇まいを保ち続けられるところって、秀和の素晴らしさの一つに挙げられるのではないでしょうか。ここの秀和代官山レジデンスも、代官山という街の雰囲気とも調和した清廉さと優雅さが感じられます。
最寄りの駅である代官山駅からは徒歩約5分の立地。
建物自体は、八幡通りに面していませんが、手前の建物が低いので、この辺りを通ったことがある方なら、なんとなく見た事があるのではないでしょうか。
おしゃれなお店や書店、カフェなども立ち並ぶ旧山手通りのあたりにも程近く、そこから更に少し西にある富士山が見える西郷山公園へも同じく徒歩圏内。自転車もお持ちであれば渋谷、中目黒、恵比寿にもすぐに行けちゃう素晴らしいロケーションは羨ましすぎる。
都心部でも豊かな緑と、洗練された落ち着きのある上品な街並みが広がる、代官山にふさわしいと感じさせてくれる秀和です。